産業用3Dプリンターの開発プロジェクトをスタートさせた日本

次世代3D積層造形技術総合開発機構(TRAFAM)を立ち上げ、産業用3Dプリンターの開発プロジェクトをスタートさせた日本。国家プロジェクト化の背景には、欧米の後塵(こうじん)を拝す現状への強い危機感がある。特に、産業界へ革命をもたらすと期待される金属プリンターで先行するのがドイツ。躍進を支えたのが、戦略的な産学官連携研究だった。TRAFAMが目指すのは世界最高水準の3Dプリンター。ドイツを追い越すには、組織の枠を超えた連携、そして事業化に直結する研究活動が求められる。 ドイツで3Dプリンター開発を主導しているのが、公的研究機関のフラウンホーファー研究機構。産学官連携のつなぎ役として豊富な実績を持ち、研究をビジネス化する視点を重視しているとされる。そして、こうした初めから出口(ビジネス化)を見据えた研究活動が、3Dプリンター産業の発展に寄与したと指摘する声は多い。事実、同研究機構では産業界との連携による用途開発が活発だ。3Dプリンター関連でも基礎研究、材料研究と並行して医療産業など向けに積極的に応用例を提示。研究を研究で終わらせない姿勢が、結果として義歯などでのビジネス化につながっている。 TRAFAMの構成には、こうしたドイツの事例に倣った様子がみられる。装置メーカー、研究機関、大学のみならず、ユーザーや材料メーカーも参画。ユーザーがどのように3Dプリンターでモノづくりを進化させるか、これを議論しながら開発を進める方針だ。「装置の完成がゴールではない」(参画企業幹部)という声から各社の本気度がうかがえる。 金属加工産業が発達し関連する技術・ノウハウを豊富に持つ日本には、限りない可能性がある。同様にモノづくり国家のドイツは、他国と陸続きで早くからグローバル競争にさらされていたことが目的意識を醸成し、金属プリンター発展につながったとされる。そして今、日本のモノづくりも競争力向上が急務。各企業の危機感も強く、事業化への意欲は旺盛だ。それだけに、TRAFAMでは研究スピード、具体的成果において、これまでの“国プロ”にない高い水準が期待される。JR九州の小倉総合車両センター(北九州市小倉北区)は、在来線全車両の定期修繕を手がけるほか、「D&S(デザイン&ストーリー)列車」と呼ぶ、多くのユニークな観光列車を製作した工場だ。2013年には豪華クルーズトレイン「ななつ星in九州」の一部車両を製作した。古島康光所長に同センターのモノづくりについて聞いた。(西部・三苫能徳) −「ななつ星」の製作は意義深いですね。 「既存車両の改造による製作は続けていたが、当センターでの新造は99年以来だった。組立作業が中心だったが、(感動で)乗客が涙を流すような車をつくった経験は、技術者のプライドを高めて職人意識を持たせることにつながった」 −鉄道会社が車両をつくる意味は。 「車両の新造は唐池恒二前社長(現会長)のかけ声で再開した。『ななつ星』は、これまでの観光列車の製作で技術と技能、知識が高まっていたため可能になった部分もある。製作数は車両メーカーに比べればはるかに少ないが、年に数両でも製作することで技術を伝えていける」 −車両の修繕も大きな役割です。 「当センターでのモノづくりは、製作と修繕の両面がある。日常点検を行う九州各地の車両センターを含めて、車両の安全と安定輸送の全体を見る“総合病院”にあたる。3年ごとの定期修繕を年間約550両行っている」 −製作と整備は違う部署で行うのですか。 「同じ担当者でチームをつくり対応する。両方やることで技能は高まる。手直しや不具合の撲滅に力を入れており、特に14年度は車両管理に対するプロ意識の向上を目標に掲げた。グループを含め700人強が働いているが、30代の社員が少なく技術継承に課題がある」 −課題をどう克服しますか。 「グループ会社に整備の移管を進めたため、本体の社員が手を油で汚すことは少なくなった。技術継承ができなければ、指導もできない。現場で実物を見て、指を差すことが重要だ。“総合病院”の役目を果たすため、グループ内の相互出向も通じて、若い社員に思いを伝えて現場を見聞きさせる。またマニュアルや作業標準づくりも、さらに進めなければならない」 神奈川日産自動車(横浜市西区、関口雄介社長、045・242・1100)は、電気自動車(EV)の営業支援組織を立ち上げた。日産自動車のEV「リーフ」の販売拡大を受けた措置。10月には日産が量産EVの第2弾を発売する計画があり、神奈川日産も人員の拡充を検討している。EV特有の専門知識を備えた人員体制を整えることで、EVの拡販をテコ入れする。 販売支援部にEV専任の営業支援組織を設置した。専任スタッフは営業スタッフに同行して顧客宅を訪問し、自宅で充電するための環境整備を顧客にアドバイスする。 特に、関口社長は「リーフの電力を家庭に供給する『リーフトゥホーム』の関心が高まっている」とし、専門知識をもつ専任スタッフを配置することでEV特有のメリットを訴求する。 管轄する神奈川県を東部、中部、西部、南部に分けてそれぞれの地区に1人ずつ、計4人で県全体をカバーする。 10月にはEV第2弾となる商用EV「e―NV200」の発売を控え、法人対応の増加が見込まれることから新組織の増員を検討している。 日産はリーフを2010年末に発売。当初計画より販売が伸び悩んでいるが、値下げや車両・充電インフラへの政府補助金もあり販売が拡大している。14年5月末時点で国内販売台数は累計4万台を超えた。日産、トヨタ自動車、ホンダ、三菱自動車が連携して充電インフラの整備を進めており、計画通りインフラが整えばさらに販売増につながる可能性がある。日産はe―NV200について月販500台を目指している。

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