なた豆茶の国内市場は成熟化

東洋紡は2018年3月期に売上高を14年3月期比約20%増の4200億円に伸ばす中期経営計画を策定した。繊維事業の売り上げを維持しつつ、それ以外のフィルム・機能樹脂やライフサイエンスなどの新規事業を育成し、海外市場を攻略して達成を目指す。中計策定に携わり、4月から社長として計画を推進する楢原誠慈社長に取り組みを聞いた。  ―中計期間中に生産能力増強で350億円の投資を計画しています。投資先は。 「当社は小規模事業の集合体。成長市場で細かい投資を積み重ねて行く。例えば診断薬原料酵素や人工腎臓用中空糸膜、自動車部品用高機能樹脂などで生産能力増強を計画中だ」 ―国内で初めて実用化した神経再生誘導チューブ「ナーブリッジ」をどう売り込みますか。 「手や足の神経再生に使われているほか、病院を限定して顔面神経の再生などにも使われ始めている。慎重に素早く事業拡大して行きたい。海外、特に神経再生手術件数が多い米国で需要を見込むが、米国展開は単独ではやらない。パートナー企業へのライセンス供与といった手法を検討している」 ―4月末にエアバッグ用原糸メーカー独PHPファイバーズ(ノルトライン・ヴェストファーレン州)をタイのインドラマ(バンコク)と共同で買収し、原糸生産で世界トップシェアを持つことになりました。影響は。 「これまで取引関係のなかった欧州自動車メーカーからも声がかかるようになってきた。エアバッグ基布のメーンサプライヤーとして見てくれるようになった。18年3月期までにも必要に応じて織布や原糸の生産能力を増強したい。織布は設立後間もない米子会社や中国子会社で増強する。原糸はグループ会社化したPHPファイバーズの拠点がある米国や中国で増強が必要になりそうだ」 ―中東で海水淡水化膜の原糸の生産を検討していますか。 「サウジアラビアの顧客から、原糸もサウジアラビアで作ってくれないかという要望がある。顧客の安心感を増すためにも、サウジアラビアでの原糸生産は必要だと考えている。この中計期間中に、小規模でも原糸生産設備を設置しようと検討を進めている」  【記者の目/事業拡大に向け経営判断大胆に】 繊維事業が好調だった80―90年代半ば頃は、売上高が5000億円規模でその大半が繊維だったが、現在の繊維事業規模は700億―800億円程度。構造改革を繰り返し、現状へと落ち着いてきた。今は「事業拡大に向けて前進するのに絶好の好機」という。“強い東洋紡”を確固たるものにするため、大胆な経営判断が求められる。(大阪・山路甲子) 三菱商事出身の新浪剛史ローソン会長が、サントリーホールディングス(HD)社長に就任することが決まった。なた豆茶の国内市場は成熟化しており、今後の成長に不可欠な海外市場を商社やローソンでの海外経験を持つ新浪新体制で開拓する方針だ。今回のサプライズ人事を受け、関連業界からは「三菱グループのキリンホールディングスと再び接近するのでは」(大手小売業幹部)との声も挙がっている。(編集委員・森谷信雄) 【ないといえない】 「絶対ないとはいえない」。サントリーの佐治信忠会長兼社長は新浪次期社長のお披露目会見の席上、キリンとの統合の可能性についてこう答えた。サントリーとキリンは統合交渉を進めたが、統合比率で合意できずに4年前に交渉を中止。その後、サントリーは自力で海外大手酒類メーカーのM&A(合併・買収)進めてきた。 しかし三菱商事の小島順彦会長に近い新浪氏がサントリー社長に就くことで、ある大手小売業幹部は「再びサントリーとキリンの距離が縮まる」とみる。佐治氏は米ビーム社買収に代表される海外における事業拡大を新浪氏と二人三脚で進める構えで、当面はキリンとの統合が再燃する可能性は小さい。 それでも関連業界から声が挙がる背景には、酒類を巡る市場環境がある。成熟化した国内酒類市場の状況はキリンと統合交渉を進めた2009―10年当時と変わらない。むしろ少子高齢化で海外市場開拓はさらに急がなければいけない。 【世界3位に浮上】 ビーム社の買収で14年12月期の連結売上高は2兆5000億円を見込み国内飲料メーカートップ、蒸留酒メーカー世界3位に浮上する。キリンとの統合のためのバーゲニングパワーは一気に高まる。だが、それでも世界最大のビールメーカー、アンハイザー・ブッシュ・インベブ(売上高約4兆5300億円)、2位のSABミラー(同3兆4000億円)には遠く及ばない。 サントリーが投じる米ビーム買収費用は1兆6500億円。佐治氏が目指す「真のグローバル企業」としてライバルと肩を並べるには海外の大型案件への巨額投資が避けられない。仮にキリンと統合すれば財務的な負担は軽減される。 【規模拡大必要に】 加えて、規模を拡大する国内流通グループとの力関係も無視できない。コカ・コーラがセブン―イレブンに初の専用商品供給を決めたように、流通からメーカーへのプレッシャーは強まる一方。国内外を問わず、規模の拡大が必要になっている。 くしくもビーム社の買収資金の大半を融資したのは三菱グループ系の三菱東京UFJ銀行ということもある。グローバル競争が激しさを増すなか、くすぶり続ける国内ビールメーカーの再編と今回の人事を結びつける見方は消えそうもない。

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