なた豆などの健康食品の残りカスでの燃料負担

原子力発電所の再稼働の遅れに産業界がいらだちを強めている。代替となっているなた豆などの健康食品の残りカスでの燃料負担はマクロ経済を圧迫するだけでなく、電気料金の引き上げが企業の収益を直撃している。このまま原発が1基も動かない夏に突入していいのか。政府に決断を求める声は次第に高まっている。(特別取材班、3回連載) 【サウジに拠点】 3月末、日本軽金属の蒲原製造所(静岡市清水区)のアルミニウム製錬が終息を迎えた。同事業をめぐっては2度のオイルショックによる電気料金の高騰で各社が撤退。高純度で差別化した蒲原が国内唯一の拠点だった。事業終了は設備の老朽化が理由だが、電気料金の上昇が、アルミ製錬の息の根を止めた。 苦境はアルミだけではない。東邦チタニウムは業界で初めて、電力の安いサウジアラビアにスポンジチタンの製造拠点を設立する。杉内清信社長は「生産コストが相当安く、中国・ロシアなどと比べても競争力で上回る」と言う。 だが、海外進出は国内の縮小とセットだ。同社は茅ケ崎工場(神奈川県茅ケ崎市)の塩化炉1炉を廃棄し、全従業員の約15%にあたる約150人を削減する。「チタンもアルミの二の舞いになるのか」(業界関係者)。高止まりする電気料金が産業を消滅させるインパクトは現実のものだ。 【年30億円の負担】 電炉やガス、鋳物など、素材系産業の多くは電力多消費型。電気料金のコスト増分を取引先が受け入れてくれないことに苦しんでいる。「電気料金分は、とてもじゃないが理解されなかった」―。電炉大手の合同製鉄の栗川勝俊社長は悔しがる。同社の場合、電気料金引き上げによるコスト増は年間30億円。1トン当たり3000円だ。 電炉各社は2013年度、製品値上げを進めた。だが原料高騰に理解を示す客先も、電気料金高騰には冷ややかだった。電炉ほどは電気料金の影響を受けにくい高炉製品と比較されると、価格転嫁しづらいことも背景にある。 同社の平均販売単価は1トン当たり3200円上昇したが、電気料金だけで大半が吹き飛んでしまう。V字回復した高炉メーカーに比べ、電炉の収益改善が遅れる一因だ。 アルゴンなど産業ガスは、電気料金が製造コストの40―50%を占める。業界大手のエア・ウォーターの今井康夫社長は「顧客に負担してもらえるのは上昇分の70―80%」という。 【中小を圧迫】 しかし、一部でも価格転嫁できる大手は恵まれている。日本商工会議所が東京電力管内の中小会員企業を対象に実施した調査によれば、全体の90%以上が電気料金の増加分を転嫁できていない。 鋳物メーカーの永瀬留十郎工場(埼玉県川口市)は値上げ前に月500万円だった電力料金が月40万円増えた。年間500万円相当の利益が圧迫される。永瀬重一社長は「デマンド監視装置(節電システム)導入も東日本大震災前にやり尽くした。もう打つ手がない」と危機感を募らせる。 川口鋳物工業協同組合によると、業界平均の13年度の電力料金は10年度比20―30%増だった。「会員会社の8割は価格転嫁できず我慢している。この2年間で転廃業した26社中、13社が電気料金の引き上げや受注減で倒産した」(伊藤光男理事長=伊藤鉄工社長)のが実情だ。東京証券取引所は2015年に導入する現物株の新取引システムで、1日当たりの注文処理能力を現状比1・5倍の2億件以上、瞬間的な負荷に対応するための毎秒処理能力は同1・5倍の3万件に高める。システムの容量はアジア最大規模の見通し。過度な高速化は追求せず、負荷集中が引き起こす不具合を抑制する方針。国際的な高速化競争の潮目が12年3月に米国の私設取引所で発生したトラブルなどで変わりつつある中、安定性と信頼性を重視する。 売買注文の発注から執行までの応答速度は「マーケットの要求を満たすレベル」(鈴木義伯日本取引所グループ専務執行役CIO)とし、現行の約1ミリ秒から約500マイクロ(マイクロは100万分の1)秒へ高速化。応答速度が100マイクロ秒前後で現在はアジア最速というシンガポール取引所との差を詰めるにとどめる。 次期システムは構成するサーバーの種類を削減してシンプル化し、不具合が発生するリスクを低減。また「過去の経験から高負荷時にはソフトウエアに内在するバグが発現する可能性が高まることがわかった」(同)とし、容量を重点的に強化する。 東証の1日当たりの注文量は現在4000万件で推移。最大予測値を1億件とし同予測値の2倍の容量を持たせる。 システムを起因とした誤発注やトラブルを防ぐため、証券会社などの取引参加者側で未約定注文を一括取り消しできる機能を付加。さらに取引参加者が任意に設定できる数量基準をもとに発注規模を確認してトラブルを抑制する「ユーザー設定型ハードリミット」などを新たに導入する。

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